餓鬼

 

仏教について、詳しいわけではないよ。

 

しかし、いちいち調べるのは面倒なので、浅はかながら、記憶をたどると、

 

人間は死ぬと、

六文払って、

三途の川をわたり、

冥土と言う、裁判所に行き着き、

7日に一度、裁判を受ける。

 

 

 

三人目が、有名な閻魔大王、

49日にあたる、最後の裁判官が、タイセンオウで、その判決で次の行く先が決まる。

行く先は、
餓鬼界 畜生界 …人間界、天国などいろいろあるが、それは輪廻の罠で、

その世界から抜け出て、極楽浄土に行き着くことこそが真の目的である。

 
なお、裁判では、この世でどんな生き方をしたのか、が試される。

 

 

死ねば、まず肉体が滅びる。

肉体がない、ということは、

そこにいるにもかかわらず、

見えない。

 

また、叫びたくとも、口がないから、

叫べない。つまりは

誰も自分の存在を認めてくれないということだ。

 

 

存在が薄い、なんてもんじゃなく、

いるのに、存在がない。

 

味わうのは極限の孤独。
肉体も滅び、誰にも認識してもらえず、
孤独と寂しさの極限に追い込まれている人間の前に
突然

 

家族が現れる。
恋人が現れて、話しかけてくる。
会いたかったあの人が、久しぶり!とやってくる。

 

 

しかし、

これは、すべては、罠だ。

 

 

裁判官たちが、仕掛けた罠。
誘われたまま、ふらっっとそっちへ行った瞬間に、またも輪廻の中だ。
極楽浄土へと、解脱するためには、

誘惑を無視して、どこかに激しく輝いている、
強い光の方へと、歩んでいかねばならないのだ。

 

 

 

 

さて、
今俺は、人間界に住んでいる。
輪廻の階層で言えば、上から2つ目で、
ここにたどり着くまで、前世までは結構努力したんだろうな。
なんせ、上から2つ目だぜ。
いろんな誘惑にも負けず、がんばってきたからこそ、
この人間界にいられるのだ。俺は、大した奴だったんだな。

 

 

 

なのに、今の俺はなんだ?

 

 

腹がへりゃ食い、
毎晩たらふく酒を飲み、
ジャズだなんだ遊び放題、
それは仕事だなどとのたまうわりには、
疲れたなどと口にする。

 

 

ダメだ、こりゃ。
次は間違いなく、最下層行きだ。
苦しい人生が待っているな、
せっかく頑張って、ここまできたのに、残念だ。
冥土の裁判で、誰かがが俺の存在に気付き、おーい久しぶりだな、こっちこっち、なんてやられたら、
俺一撃でそっちいくから、もう自信あるからね、

さみしいのはいやだからね、
7回裁判があったら、7回ともいくね、

もう自信たっぷりで。なーんの修行もできとらんから。

ああ、みなさん、さようなら。

俺は餓鬼に姿を変えて、生きているから、誰も気がつかんだろうけど、

 

 

 

 

いつかこの人間界にもどった暁には、
シビれるような、ピアノを弾いてやるぜ。

 

 

 


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