街場の
大きくもなく小さくもない、
パチンコ屋が、取り壊されて、
コインパーキングになる。
老朽化しテナントも入らなくなった、
ビルが取り壊され、
コインパーキングとなる。
コインパーキングができるということは、
駐車場が増えて、街が便利になった、
ということではない。
街が取り壊されて、
少しづつ、少しづつ、
その魅力を失っていく、
その過程を
見せつけられていると、言うことだ。
コインパーキングに立つ。
そこは、ほんの少し前までは
立つことができなかった場所だ。
そこから見える風景は、
かつてはその建物によって隠されていた、
見えることのない風景。
見せるつもりのなかった風景、
見られることを予想していなかった風景。
いつか、見られるであろう風景、
そういったものだ。
くずれさっていく時、
その断片は、
繁栄の陰に隠れた、美しさを、
繁栄の時に隠れ育った、もうひとつの美を、
おしげもなく、放出している。